日本のヒップホップの歴史に刻まれる名曲を数多く発表している音楽グループ・舐達磨(以下、「なめだるま」と記載)。郊外の過酷な現実を題材にした歌詞だけでなく、1980年代の不良少年のスタイルを現代風にブラッシュアップしたファッションも大好評です。その一方で大麻に対する愛情を語るなど、反社会的な行為を続け、警察にマークされています。一体、「なめだるま」のメンバーとはどのような人物なのでしょうか。逮捕や死亡の噂も調査しました。
賽 a.k.a. BADSAIKUSH
賽 a.k.a. BADSAIKUSHさんは埼玉県深谷市出身、細谷雄太が本名。「なめだるま」のメンバーの中でプロデュースの役割を担っており、実質的なリーダーです。 楽曲に使うビートや方向性を決めるなど、音楽面を牽引。「草のおかげ」と語るほど若かりし頃に薬物に陶酔し、その経験が楽曲に反映されています。
ラッパーとしての才能が開花したのは20歳頃。それまでラップをやりたいと思いながらも、リリックの書き方が分かりませんでしたが、覚せい剤を打つと次から次へとパンチラインが生まれたのです。
覚せい剤の使用による影響
出典元:APHRODITE GANG
メンバーのG-PLANTSさんが覚せい剤の使用を反対していたものの、賽 a.k.a. BADSAIKUSHさんはやめませんでした。なぜなら覚せい剤を打てば、睡眠時間や食事をとらなくても活動できたため。真の怖さを理解しないまま2年ほど常用し、気づけば左前腕には無数の注射痕が残りケロイド状になっていました。さらに副作用によって右耳の聴覚を失い、手術してもなお回復していません。
現行犯逮捕
19歳の時に取り返しのつかない事件を起こし、大切な仲間を失った賽 a.k.a. BADSAIKUSHさん。心に闇を抱え、薬物にのめり込んだようです。習得したリリックの書き方を磨き、負の連鎖を断ち切ろうとしたものの、2022年には同棲中の彼女と大麻を共同所持していた罪で現行犯逮捕されました。完全に薬物との縁を切ることはかなり難しいのでしょう。
DELTA9KID
出典元:ニートtokyo
DELTA9KIDさんは埼玉県深谷市出身、広井大輔が本名。賽 a.k.a. BADSAIKUSHさんとは同学年の幼馴染、常に行動を共にして何でも気軽に話せる間柄でした。中学時代には賽 a.k.a. BADSAIKUSHさんの家で寝起きし、2人そろって地元の暴走族チームに所属。チームの構成員である4つ年上のヤバイ先輩たちに育てられ、少しずつ悪に染まっていきました。中学3年生の頃には先輩から譲ってもらった車を無免許運転し、躊躇なく犯罪に加担していたのです。
ヒップホップチームに加入したきっかけ
DELTA9KIDさんと賽 a.k.a. BADSAIKUSHさんは、女子高校生の協力のもと援交狩りを幾度も繰り返し、男性から金品を強奪。「悪い奴を成敗して金品をとっているだけだ」と自分たちの行動を正当化し、荒稼ぎしていました。そんな中、1人の男性が「一枚かみたい」と声をかけてきたのです。
その男性とは、DELTA9KIDさんらの5つ年上で、ヒップホップチーム・49(フォーティーナイン)のリーダーを務めていたナンシーさん。彼は北関東のヒップホップ界隈で顔役を担うほどのラッパーでしたが、金儲けの手段を選ばないアウトサイダーの一面を持っていました。
暴力団からの勧誘
犯罪を機にナンシーさんと意気投合したDELTA9KIDさんらは49に加入。この時、別の中学に通っていたG-PLANTSさんとも合流しました。もともとレゲエ音楽に興味があったDELTA9KIDさんは49のメンバーとの関わり合いを通じてラップを始めたものの、犯罪をやめることができませんでした。
出典元:ニートtokyo
しかし20歳の時に犯罪に加担している最中、仲間を失ったことで人生観が一変。暴力団に入った先輩たちの勧誘を断り、ラッパーとして生計を立てる道を選択しました。もし勧誘を受け入れていれば、賽 a.k.a. BADSAIKUSHさんも暴力団員となり、現在の「なめだるま」は存在していませんでした。
G-PLANTS
G-PLANTSさんは埼玉県深谷市出身で、本多勇翔が本名。賽 a.k.a. BADSAIKUSHさんらの1つ年上です。地元の不良少年の溜まり場となっていたイトーヨーカドーで「なめだるま」のメンバーと出会い、自然と会話が盛り上がって友達になりました。
出典元:ニートtokyo
ヒップホップを始めたのは「なめだるま」のメンバー中で最も早く、19歳の時。印刷会社で働きながらCDを買いあさって聞いていたところ、知人にナンシーさんを紹介されて49に加入しました。極力、犯罪との関わりを避けていましたが誘惑に負けてしまい、2022年に大麻を共同所持していた罪で現行犯逮捕されています。
D BUBBLES
D BUBBLESさんはG-PLANTSさんと同学年。賽 a.k.a. BADSAIKUSHさんとDELTA9KIDさんが逮捕されて不在の間も2人でラップを懸命に続け、ステージに立つ機会を着実に獲得しました。G-PLANTSさんと共に49の内部ユニット舐達磨’s(「なめだるま」の前身)を結成し、メンバーと強い絆で結ばれていたはすでしたが…。
出典元:APHRODITE GANG
2018年に大麻取締法違反で賽 a.k.a. BADSAIKUSHさんとDELTA9KIDさんと一緒に逮捕された際、1人だけ刑務所に収監され、釈放後に消息不明になりました。
金庫泥棒の末に急逝したメンバー
2009年6月、49の内部ユニット・ポッセ(「舐達磨’s」の前身)に所属していた3人が金庫泥棒を実行。盗難車で移動している最中、覆面パトカーに停止を命じられたものの、それを無視して140キロの猛スピードで逃げました。幅5メートル程、緩やかにカーブしている道路を速度超過まま走行した結果、車がピンポン玉のように弾んで塀に衝突し大破。
出典元:APHRODITE GANG
シートベルトをつけずに後部座席に乗っていたメンバー・104さん(当時17歳)は車外に投げ出され、全身強打によって死亡しました。
同乗していた2人は…
車に同乗していた残りの2人は、賽 a.k.a. BADSAIKUSHさんと、DELTA9KIDさん。中学時代から犯罪まがいの行為を続けていたために緊張感が薄れていたようです。
出典元:HIP HOP DNA
賽 a.k.a. BADSAIKUSHさん(当時19歳)は打撲傷を負い、助手席で気絶。常日頃から犯罪の最中は仲間の安否に関係なく退避しなければと思っていたため、意識が戻ると直ぐに逃げようとしました。しかし負傷していた影響で直ぐに捕まり警察へ。「死亡した仲間の名前を教えろ」と質問されたものの、動転して説明を信じられませんでした。その後、少年院に収容され、20歳頃に釈放されました。
事故現場から逃げた運転手
一方、DELTA9KIDさん(当時20歳)は、車を運転し事故を起こした張本人でした。にもかかわらず104さんの状況を確認しないまま現場を去り、事故現場付近の民家に隠れていました。そこに車で迎えに来たナンシーさんとG PLANTSに匿ってもらうことに。しかし情報を探っていた仲間から104さんの訃報を伝えられ、自首する意志が固まったのでしょう。いったん帰宅した後、兄と母に付き添われて警察を訪れました。
刑務所で服役
出典元:ニートtokyo
道路交通法違反と自動車運転過失致死傷、そして窃盗容疑、数々の余罪が問われ、成人していたDELTA9KIDさんは刑務所へ。4年ほど収監されている間は、周囲との関わりを避けつつ、刑務所内の食事を作る工場で黙々と働いていました。本来つまみ食いをすれば懲罰房に送られますが、DELTA9KIDさんは炊事場の担当者と仲良くなり、ぜんざいなどを食べていたそうです。
とはいえ時計の1時04分の表示を見た時など、ふとした瞬間に104さんの存在が頭をよぎり、自分が犯した罪と向き合い続けています。
まとめ
「なめだるま」のメンバーは、もともと普通の不良少年でしたが、アウトローな人々との交流を重ねて犯罪行為や薬物と関わるようになりました。その決して逃れられない罪を背負いながら、独立独歩で楽曲の制作を継続。その成果が認められ、インディーズのアーティストを表彰するアワード「Independent Artist Awards by TuneCore Japan」にノミネートされました。既成概念にとらわれない彼らがどのような楽曲を発表するのか今後も楽しみですね。